桃日記
手塩にかけた桃の出荷です。
出荷場はこんな感じのところです。
収穫した桃はこんな感じで並べます。空間を開けないと桃が傷ついてしまいます。
以下の3つの写真のうち、一番右の秤りに乗っている桃は去年の新記録で1個が600gの巨大な桃です。
年間、数個しか取れない『幻の逸品』です。
もちろん、味は他の桃と同じく美味しい桃です。
左の2つはそれぞれ12個入りと11個入りです。
絶対の自信の桃です。
6月後半から7月初めにかけて、桃が色づきまもなく出荷を向かえます。
こちらは早生品種の桃です。
こちらは梅雨明け後の太陽が燦々と降り注いで育った川中島白桃という品種です。
甘くて美味しい品種です。
初夏の頃(5月の終わりくらい)、桃の実がかなり大きくなってきたので、袋掛け作業を行います。
袋はこちらです。
この袋を未成熟な桃に1つ1つかけてゆきます。
2重の袋をかぶせるのですが、こんな感じで被せます。
袋掛け作業は根気のいる作業ですが、こうしてたくさんの方のご協力によって済ませることができました。
こちらは、コーヒーブレークのところです。
みなさん、ありがとうございました。
間引き前と後が以下の写真です。
同じ樹木の写真ではありませんが、こんな感じで間引いています。
左が間引いた後、右が間引く前ですね。
白鳳は全て実を付けますから段階的に間引きします。
作業効率を考えると本当は一気に全部間引いた方が良いのですが、
もし手間を惜しんで一気に間引くと、大きくなった時に桃が変形していたり、小さいままで終わったりします。
それを防止するために、3回~5回位、間引きの作業を実施します。
このような手間ひまをかけることで、立派な美味しい桃に成長してくれます。
4月始めは一枝に六~八個程度の花を残します。
5月末くらいまでには30~50個に1個くらいまで受粉後の花(果実)を残します。
つまり、1つの木に30~50個くらい桃の実をつけます。
何回にも分けて、花や早熟の果実を間引くのは効率が悪いと思われるかもしれません。
しかし、1回で間引くと、間引くまで木は栄養分を全部の果実に供給しなければなりません。
そうなると木に負担をかけます。
更に、花のうちに間引くのと果実になって間引くのでは作業の手間も大きく違いますし
木への負担も花の方が軽いです。
それと、今のうちに間引くと葉っぱに隠れて見逃すということもなくなります。
そのようなことがあって段階的に数回に分けて間引くわけです。
車を洗った後に使う埃取りの『羽根』が秘密兵器ですが、長年、試行錯誤していく中で、何とか編み出しました。
以下は白鳳園地です。白鳳という品種の桃園ですね。
数日ほどで、何とか花粉の受粉を済ませたら一安心です。
採取していた蕾の乾燥がかなり進みました。
これは蕾を撹拌したものを乾燥させたものです。
まずは花びらなどを取り除くために大きめの目のザルで濾します。
更に細かい目のザルで、こして花粉のみに近い状態にします。
これが最終的段階の花粉ですが、茶こしの網でこします。
花粉付けするまでに完全に分離すると花粉が固まった状態になるので、このような状態で保存します。
もちろん常温で乾燥させます。
これが花粉を遠心分離機で分離した時のビフォーアフターです。
左がビフォーで右がアフター(スマホの場合は上の画像がビフォー、下がアフター)です。右をよく見ると蕾の形が壊れているのがわかります。
花粉を分離するのが大変な上に、分離した花粉を今度は人の手で受粉させるのですから手間がかかりますね。
乾燥させた花粉は黄金色でしたが(左記)、人工受粉の増量剤(右記)をつけます。
人工受粉の増量剤は赤色石松子といいます。
この花粉を車の洗車後に使う『埃取り羽』(下図)を使って花に花粉を
どんどんつけていきますが、実はこれが手間のかかる作業です。
桃の木が250本ほど有るので、なかなか終わらず、家族総出で急いでやります。
花が咲いている時期しかできないので、ひたすらやり続けるしかないですね。
骨の折れる作業ですが、お客様の喜んで頂ける顔を思いながら作業しています。
3月中旬ころから桃の花が開花します。開花する前の蕾の花粉を採取するのがこの頃に仕事です。
花が開いてしまえば、花粉がうまく採取できないので開花するかしないかのギリギリのところで採取します。傘を逆さまにして、そこに蕾を落とす感じです。
白鳳は枝の上側のみを採取します。
枝の下に桃の実が付きますので、枝の上側の花は実をならすのに都合が悪いのです。
それで、上側の花は蕾が開花する直前に採取して花粉を採取するという手はずです。
こんな感じでやっています。
蕾を拡大するとこんな感じですが、まもなく開花という状態です。
必要なのは右下の写真で言えば黄金の部分(雄しべ)です。
こうして沢山の蕾を回収したらそれを集めて新聞紙を敷いた箱に詰めます。
箱にいっぱい収穫してたらそれを干します。干したものを特殊な機械にかけて花粉を分離します。
上右は我が家の花粉分離機ですが、なかなかいい仕事をしてくれます。
本来ならば自然受粉が一番いいのでしょうが、ハチは必ずしも当てにはならないので人間の手できちんと受粉させて美味しくて見た目も良い桃を栽培しようとしています。
桃の花が満開になりました。
こんな感じに咲きました。
本当に満開ですが、今のうちに受粉させる必要があります。時間との勝負です。
春の温かい日に接ぎ木をします。
まずは桃の若枝を採取します。下記のような感じです。
下の方を鉛筆削りのように薄く削ります。
台木はこのように切り込みを入れます。
台木の切込みに先程の若枝を差し込んで台木と接ぎ木の皮の部分をうまくつなぎます。
接ぎ木を差し込んだらこのテープを最初に巻きます。
このテープは接ぎ木を成功させる魔法のテープです。
これを巻いた後にこんな感じでぐるぐる巻きにします。
このように接ぎ木しますが、接ぎ木が成功する確率は半分くらいです。
こうやって、春になったら接ぎ木で少しずついい苗を増やしていきます。
もちろん、美味しい桃の小枝をどんどん作っています。
1月~2月 枝の整理と土作り
①枝の剪定及び枯枝の除去
②土壌手入れ「冬草の除去及びたい肥補充」
* 冬季に休んでいる間に土壌を柔らかくして、根が動き安くなるように土作り。
酸素吸入ができやすく、しかも、たい肥で土壌が発酵した状態に回復させる。つまり、ミミズが活躍できる土壌にすることで樹木の生長を助ける。これが美味しい果樹栽培につながる基本かな。
3月 開花の準備
上旬 越冬病害虫の防除作業「石灰硫黄合剤」の散布
中頃 蕾の摘蕾(花が咲く前に少しでも樹木に余分な負担を無くすための作業)
「各枝の上向き及び蕾を除去」
下旬 花粉(白鳳品種)を採集(きれいな瓶で保管する)
受粉可能な品種をつかう。蕾がピンク色の時に採集して機械で分離した雄しべの先端部のみを乾燥。
4月上旬 人工授粉
樹木自身で結実しない品種(川中島白桃)への対応。採取しておいた黄金の雄しべを各枝毎に手作業で行う。
5月上旬~中頃 予備摘果
パチンコ玉~ドングリ実の大きさの頃に各枝3個ぐらいまで間引く。間引くことで栄養を集中させる。
下旬 最終摘果及び袋被せ 6月中頃までに袋着せが終了できるように 最も忙しい時期
6月 中頃(下旬) 極早生品種の収穫始まり
* 逐次約一週間単位で品種が変わり、大きさや味を整えていきます。
8月中頃 までが、 収穫の季節です。
4月初めより8月上旬までに、約10日~半月単位で防虫・殺菌作業をします。
何故そのように頻繁に農薬散布しなければならないのかをご説明します。
頻繁に散布することで、病害虫を防護して寄せ付けない為のバリアを設けます。
これによって綺麗な美味しい果実を生産することができます。
それから、回数を複数回に分散することで極力薄い農薬散布、消毒ができます。
手間を考えると一回で多めに散布すれば虫や細菌を一網打尽にできますが、
安全で美味しい生産物を作るためには手間隙掛ける必要があります。
9月以降 整理整頓と夏期剪定(下旬に実施)
収穫が終わっても作業はあります。
桃畑から不要なものを撤去します。例えば反射マルチシートです。
これは太陽の光を実に反射させるためのものです。
これによって葉の光合成を活発にさせて甘みをより増加させ、色もピンク色にさせる働きがあります。
余分に成長した枝を樹木の成長維持管理に必要で無い枝のみを取り除く
10月 お礼肥の補填
実をつけて弱った木々へ肥料を散布して木々の回復をさせる。
11月 元肥散布
まだ葉っぱがあるときに次年度の成長に必要な養分を補充させる。
12月 植え替え作業
老木を掘り起こして新たなる幼木を植え付ける。
これが一年間を通じて行う橋村農園の桃育成に関する大まかな作業手順であります。
その他
防護の為のネット展張や蛾や害鳥防護策等あらゆる作業があります。